離婚してひとり親家庭になると、いろんな支援を受けられます。離婚したいと思っている人は、離婚後、どんな支援があるのか、そして、自分は、この支援を受けられるのか、また、その金額はいくらか、気になりますよね。そこで、今回は、いくらくらいの収入なら、どんな支援をいくら受けられるのか?シミュレーションしてみました。
目次
児童扶養手当はいくら
まず、ひとり親家庭への支援額が大きい制度といえば児童扶養手当です。児童扶養手当は18歳(一定の障害がある場合は20歳)までの子がいる家庭に支給される手当金です。満額であれば1人目は4万円くらい、2人目は1万円くらい支給されますが、所得制限があり、所得によっては一部支給、あるいはゼロということになります。
また、児童扶養手当は、養育費をもらっている場合、その8割が所得に加算されます。自分の所得だけで判断できませんから、この点は注意ですね。
では、児童扶養手当はどの程度の収入で、いくらもらえるのかということですが、下記の表のように、扶養人数によって所得制限額が違います。
たとえば、赤枠の扶養人数が2人の場合、全額支給の所得額は125万円となっていますね。給与収入のみの場合は「収入額」を参考にしましょう。給与収入のみの場合、全額支給される年収の目安は215万7千円です。
しかし、全額支給の所得を超えたとしても一部支給コースがあります。一部支給は、所得が268万円までなら受けられます。給与収入に換算すると412万5千円です。では、一部支給なら、いくら支給されるのかということですが、かなり幅があります。
このように1人目だと約1万〜4万円、2人目だと5000円〜1万円という金額です。
児童数 | 全額支給 | 一部支給 |
---|---|---|
児童1人 | 43,070円 | 43,060円~10,160円 |
児童2人 | 10,170円 | 10,160円~5,090円を加算 |
児童3人以上 | 1人につき6,100円を加算 | 6,090円~3,050円を加算 |
金額に幅があるので、所得がいくらなら、いくらもらえるのか?気になります。ただ、児童扶養手当は、本人の所得から個別に支給額を計算するため、いくらもらえるのか人それぞれ、計算しないと金額がわかりません。
そこで、子ども2人の場合の児童扶養手当を下記の所得と収入を基準に計算してみました。
一番上の行は全額支給の場合の所得と給与収入目安額です。2行目より下が一部支給の所得と給与収入目安です。給与収入の目安として50万円刻みで児童扶養手当を計算してみました。
年収250万円なら児童扶養手当1人目は37,540円、2人目は9,310円です。ただし、年収はあくまでも目安、基準となるのは所得です。
ちなみに、所得はこの計算式によって求められます。
<給与所得の場合>
給与所得控除後の金額− 10万円−各種所得控除の額+養育費の8割
<自営業の場合>
売り上げから経費を差し引いた後の所得−各種所得控除の額+養育費の8割
難しい言葉が並んでいますが、給与所得の場合の「給与所得控除後の金額」とは源泉徴収票の下記赤枠部分に記載があります。
そして給与収入の場合も自営業の場合も、共通して計算に出てくる項目が「各種所得控除」です。ちょっと難しい言葉ですが、各種所得控除とは、当てはまるものがあれば、所得から控除額を差し引けるおトクな制度です。当てはまるものとは、この表に記載されているケースをいいます。
たとえば、上から5番目に障害者控除27万円と書かれていますね。自分が障害者、あるいは子どもが障害者なら、所得から27万円を差し引けるということです。そうすると、自分の所得が小さくなりますから、所得制限におさまりやすくなりますね。
iDeCoもひとり親控除と同じように所得を下げる効果を発揮しますから、iDeCoをしていないなら、ぜひ今から始めてみましょう。
ちなみに、「ひとり親控除」は、児童扶養手当の計算においては、父と母以外に適用されるものなので間違えないようにしましょう。
児童手当はいくら?
児童手当は、ひとり親家庭に限らず、子どもが中学校卒業まで受けられる支援です。所得制限は、児童扶養手当に比べると、ゆるいですからシングル家庭になるなら、手当を受け取れる人は多いのではないでしょうか。児童手当の所得制限については、こちらのブログを参考にしてください。
その他の支援制度
3つ目の支援は各自治体独自の支援です。
たとえば、大阪市なら「養育費に関する公正証書等作成促進補助金」といって、養育費の取り決めに関する経費を補助してくれます。
東京都だと、児童育成手当という支援があります。所得制限はあるものの、制限額はこちらの表の通りで、児童扶養手当よりは緩くなっています。
扶養人数 | 本人所得 |
---|---|
0人 | 3,604,000円 |
1人 | 3,984,000円 |
2人 | 4,364,000円 |
3人 | 4,744,000円 |
4人 | 5,124,000円 |
所得制限の計算方法は、児童扶養手当とほぼほぼ同じですが、養育費は加算しません。児童育成手当は子どもひとりあたり13500円です。
そして、注意しないといけないのが、児童育成手当は収入になるので一定額を超えると税金がかかるんですね。
児童育成手当は雑所得という所得区分になるので、この雑所得が給与収入の人なら20万円超になると税金がかかります。確定申告をしないといけません。また、副業していると雑所得になる可能性がありますから、副業で収入があるなら、その収入と児童育成手当合わせて20万円を超えると税金がかかります。
ただ、子ども2人の場合は、13500円×12ヶ月×2人分なので32万円くらいになって、児童育成手当だけで確定申告が必要ということになります。子ども2人以上なら確定申告が必要ですね。
給与収入300万円なら、もらえる手当は全部でいくら?
では、給料が300万円、小学生の子どもが2人、養育費をもらっていない人が受けられる支援は全部でいくらになるでしょうか。
東京で受けられる支援額で計算してみると
- 児童扶養手当・・・1人目:約3万円 2人目:約8千円
- 児童手当・・・・・1万円×2人=2万円
- 児童育成手当・・・13,500円×2人=27,000円
合計:約8万5千円
かなり大きな額なので、これだけあれば離婚して自分ひとりでやっていけるかも。と、思うかもしれませんが、これら支援金は、子どもが15歳まで、18歳までと期間限定ですから、これらのお金がなくなった後も、生活ができるか?ということも考えることが大切です。
今補助されるお金だけをみて、判断するのは危険です。
後悔しないよう、子どもが高校生、大学生になった時のお金のことも考えてみてくださいね。高校生、大学生は一番お金がかかる時です。その時に、必要な資金が準備できているのか、そして、さらに、自分の老後資金は準備できているのか?
ここもしっかり考えないと、大変なことになります。
一緒に離婚後の生活が成り立つかどうか、考えてほしいということなら、こちらのサービスを参考にしてください。
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パートナーとの関係が冷めきっている、愛情がない、会話もない、会話はあっても業務連絡のみ、言葉の暴力に怯えている、そんな夫婦問題を抱えている人は少なくありません。たとえば・・・
手当金以外のひとり親支援
では、そのほか、どんな支援があるでしょう
お金以外の支援を調べてみると、市区町村によって異なりますが、だいたいこんな支援があります。
- 都営住宅や市営住宅に優先して入居できる
- 公営住宅や民間住宅の家賃補助
- 水道料金減免
- 粗大ゴミ処理手数料減免
- 地下鉄など無料乗車券
- 医療費助成
- ホームヘルプサービス
- 母子・父子家庭向けの自立支援教育訓練給付
ほかにもいろんな支援がありますから、お住まいの自治体の支援を調べてみるといいですよ。「ひとり親 市区町村名」で検索すると出てきます。
今回は、離婚したらいくらくらい補助がもらえるんだろうという視点で所得と支給額の関係を中心に見てきました。自分の場合はいくらなのか、チェックしてみてくださいね。
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