年収400万円、離婚しても生活できるかシミュレーションしてみた

夫婦問題診断士兼FPとして活動している私の事務所には「離婚したいけど、私の年収で子供を育てていけるか?」という相談がとても多いです。

そこで!

今日は、年収400万円の女性が小学生の子ども2人を育てていけるか、シミュレーションしていきたいと思います。

動画はこちら

家族構成

毎月の収入設定

収入の状況は、上記の通りです。児童扶養手当は、ひとり親などに支給される手当で、所得によって給付される金額は、変わりますが、400万円の給与収入なら、だいたいこんな金額です。養育費をもらっていれば、養育費もその金額の8割が所得として見られますから、もし、養育費をもらっていれば、この児童扶養手当の金額は変わってきます。

毎月の支出設定

住居は賃貸とします。生活費は食費や通信費、光熱費、衣料品など、保険は生命保険に加入し、毎月5000円払っているとします。

教育費設定

高校までは公立です。学校以外にかかるお金は、習い事や塾に行く余裕はないため、大学合格まで進研ゼミ一本で乗り切ります。しかも、オプション講座などもなし。子どもは、環境に流されず自分で学習計画を立て、実行できる子なのでしょう。

学校以外にかかる具体的な金額としては、下記の通りです。

  • 小学生 8000円/月
    (進研ゼミ5000円+書籍購入など予備費用)
  • 中学生 1万6000円/月
    (進研ゼミ7000円+スマホ+おこづかい+予備費用)
  • 高校生 2万円/月、3年生のみ受験料15万円上乗せ
    (進研ゼミ8000円〜1万+スマホ+おこづかい+予備費用)

そして、所得制限にかからないため、行政からの援助を受けます。

小中学校の就学援助・・・給食費や学用品費、修学旅行代など市区町村が援助してくれる制度

高校の授業料は無償化対象です。

シミュレーション結果:無対策の場合

これら収支内容をライフプランソフトに入力し、シミュレーションします。すると・・・

子どもが独立するまでは、貯蓄があることや自分が働いていることもあり、どうにか乗り切れそうです。

でも、退職後、どんどん貯蓄が減ってしまっているのがわかります。そして、75歳で赤字転落です。

なぜ、赤時転落するのか、数字で見てみましょう。

現状は、手取り26万円で毎月5万円も黒字が出ている優良家計です。しかし、この家庭では、大学一人当たり500万円かかっていて、その費用をどうやって捻出しているかということ、

今ある貯蓄500万円は上の子の大学費用、毎月5万円の黒字を10年貯蓄すると600万円になり、このうち500万円を下の子の大学費用といった具合に、今の貯蓄とこれからの貯蓄から大学費用を捻出しています。

貯蓄を教育費で使い果たしてしまっている!

自分が働いているうちは、稼いだお金で生活できますが、退職後は、そうもいきません。

年収400万円だと、老後の年金は月14万円くらいでしょう。それに対して、生活費10万円+家賃8万円では毎月赤字です。

子どもが独立した段階で、もう少し安い家賃の賃貸に住む、生活費を切り詰めることも可能ですが、医療費や介護費がかかるかもしれないことを考えると、貯蓄がほしいところです。

つまり、教育費にあてずに、自分の老後のために、おいておく必要があるということです。

教育費は奨学金ということですね。

ただし、すでに老後資金の貯蓄が十分ある、大学費用は養育費でカバーできる状態なら、話は別です。しかし、そうでないなら年収400万円の母1人で子2人分の教育費を負担するのは厳しいでしょう。

ただ、年収400万円なら、大学無償化制度(入学金と授業料の減額・免除と給付型奨学金がセットになった制度)を使える可能性があります。

大学無償化制度を利用すると

下記は、大学無償化制度の所得基準を表した表です。ひとり親で子2人の欄を見ると、年収400万円なら第3区分に該当します。

ただし、厳密に言うと、このきょうだいは3歳差ですから、この表の「子2人」に当てはまるのは、下の子が高校生になってから(上の子が大学1年生)の時ということになります。

出典:文部科学省「高等教育の修学支援新制度(授業料等減免と給付型奨学金)における所得に関する要件」

第3区分に該当すると、給付型奨学金を毎月12800円受けることができます。加えて、大学の授業料と入学金が下記金額を上限として、3分の1が減額されます。仮に、進学した大学の入学金が26万円、授業料が70万円だとすると

それぞれ、8.6万円、23万円が減額されるということです。では、これを反映させてライフプランシミュレーションを再度実行してみましょう。

大学無償化反映後のシミュレーション

赤字額は減りましたが、それでもまだ750万円の赤字があります。そこで、今度は老後資金対策です。下記の対策を取るとしましょう。

  • 66歳〜70歳まで、アルバイトで稼ぐ。年収100万円
  • 毎月2万円を70歳まで積立運用する

2万円を積み立てる理由は、70歳まで25年積み立てると600万円になるので、赤字額の750万円に近づくというのと、2万円なら積み立てられるという家計状況からです。これらを実行したとして、再度シミュレーションしてみましょう。

老後資金対策後のシミュレーション

そうすると、赤字が消えましたね

赤字が消えましたね。これは、66歳から70歳までの5年間、年収100万円で働くという設定にしたことはもちろん、70歳までの25年間、毎月利回り3%で積立運用することで、利益が約300万円増えたという設定になっているからです。

来年からの新しいNISAで積み立てれば、決して非現実的な数字ではありません。さらに、運用で得た利益を運用しながら取り崩すという設定にしています。

これが、積立運用のシミュレーションです。

もちろん、運用に100%はありませんから、必ずしも、300万円の利益が出るとは限りません。

でも、長期で積立運用をして、資産形成することは、生活する上で今や必須でもあり、資産運用を取り入れるということが、大きなポイントになってきます。

結 論

年収400万円で2人の子を大学まで進学させるとなると、一般的には非常に厳しい!

しかし、要所要所で対策を取っていけば、不可能ではないかもしれない。対策としては、資産運用は必須!

なお、今回のケースは養育費をもらっていないケースで考えています。

養育費をもらっていると、今回の前提条件が変わってきますから、これは一例ということで参考にしてみてください。

離婚を迷っている人のライフプラン相談

離婚したいけど、本当に離婚していいの?

離婚しても子どもが望む教育を受けさせてあげられるだろうか?

子どもと自分だけで生活していけるだろうか?

そんな疑問をお金の面からクリアにします。

前田 菜緒
FPオフィスAndAsset代表。CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、公的保険アドバイザー、DCプランナー2級。大手保険代理店に7年間勤務後、FPとしてよりお客さまに近い立場でサポートをしたいという思いから独立。

保険などの商品を売らないファイナンシャルプランナーとしてライプラン相談を行っており、特に高齢出産夫婦が家を買って2人目を出産しても子どもが希望する進路をあきらめさせない家計を実現させることを得意としている。

お客さまが生涯にわたり経済的不安のない生活を送り、人生を自由に選択できるように。そして、なによりすべての子ども達が希望する進路をあきらめない生活を送れるようにとの想いを持ち活動中。

関連記事